徒然日記 〜日々出会う本や映画〜

映画『宝島』を見て

2026年2月11日祝日に、映画『宝島』を観てきました。

昨年2025年9月に公開された、アメリカ占領下の沖縄を舞台にした作品。

見たい、というか見なければ、と昨年から思っていて、そして見るなら映画館で集中して見たいと思っていたところ、ミニシアター下高井戸シネマで約1週間の上映が決まり、これは今行かないと逃す!と思って行ってきました。

130席ちょっとの劇場なのですが満席御礼。並んでいたのに入れない方もいたほどの盛況でした。朝イチで劇場に行って、整理券をもらってくれたパートナーに感謝!^^

私にとって沖縄は、豊かな布文化を持つ島。芭蕉布、首里織、紅型、ミンサー … 沖縄の布文化はとても魅力的。

2022年の年明けに『教養としての着物』の原稿を書き上げて、9月の発売前のタイミングで沖縄本島に行き、芭蕉布の村や首里織の組合に伺いました。とても大切な経験になりました。

▼そのときの沖縄レポートはこちら▼

【和創塾ブログ】
沖縄の布を感じる旅/芭蕉布の故郷と首里染織館suikaraを訪ねて
https://kimono-strategy.com/?p=7115

今、私たちは沖縄独特の魅力的な布を、着物や帯として触れていますが、太平洋戦争からアメリカ統治下を経て、残してくださった方がいるから今に繋がっている。

それは奇跡とも言えるくらい、大変なことだったのだと、今回の映画『宝島』を見終わって、しみじみ思いました。

注)映画『宝島』には、着物や織物の話は出てきません!^ ^ 

私は映画や舞台を見る前に下調べをせず、見終わった直後から、メイキングやインタビューを見まくるタイプ。

今回の映画『宝島』も下調べせずに映画館へ。見ている間は、沖縄のことを知らなすぎて、何が事実で何がフィクションかわからず、「感動」とは言いづらいのだけど圧倒され揺さぶられつづけた191分でした。

自分の無知が恥ずかしいというか、知らなさすぎて衝撃。嘉手納基地ってどこだっけ??でしたもの……

今回は、沖縄言葉の字幕付き。字幕があったことでちゃんと言葉を理解できたと思います。字幕をつけるほどの沖縄言葉を、沖縄出身ではない俳優さんたちが、ものすごい熱量で演じていました。

私は特に、窪田正孝さん演じるレイが印象的でした。レイの狂気を感じるアクションが、作品全体の説得力を生み出していました。

そして劇場を出てから調べまくりまして、戦果アギヤーや密貿易、コザ暴動や米軍機墜落事件、毒ガス配備など、実際に起こったことだと知りました。

沖縄戦で焦土となり、生産基盤が壊滅的だったから、米軍基地から物資を奪って人々に配った戦果アギヤーが英雄視され、台湾などから物資を得てくる密貿易があった。

米国占領下で、不当な暴力や事故がたくさんあり、生きていくためには基地や特飲街の仕事が貴重だった。

そういう時代が映画『宝島』で、人を通して描かれていました。それぞれの「正義」や「理想」が交錯し、それが大きな熱量になって圧倒してきた感じ。

時代背景やキャスティングについてはこちらの監督インタビューが、学びになりました。

あの時代を経て、今の沖縄がある。というか、復帰して50年経っても変わらない沖縄の今がある。「ナイチャー」として何も知らなかった自分を恥ずかしい、申し訳ない。

でもこの映画は「知ること」が「せねばならぬこと」ではなく、もっと前向きな、「知ること」で離れていた存在の間に橋がかかるような、あたたかで愛を表現する方法なんだと感じさせてくれる映画でした。

『宝島』は原作者も監督もメインキャストも沖縄の方ではありません。監督の大友啓史さんは、NHKで朝ドラ「ちゅらさん」の演出をしていた方で、2001年当時からいつかアメリカ統治時代の沖縄をいつか描きたいと思っていたそうです。「ちゅらさん」で描いたのは楽園の沖縄で、それはそれで喜ばれたけれど、やっぱり裏側と向き合わなければと。

その思いを温めていたときに、2019年の直木賞 真藤順丈さんの小説『宝島』を読んで、「これだ!」「これしかない!」と思ったとのこと。そこからまた6年、コロナで二度の中断もありながら、四半世紀の想いが結実した作品。最初は5時間の映画にしたいと言って、配給元に怒られたそう笑

「知らなかった、知らなくて申し訳ない」という気持ちは、私だけでなく多くの日本人が感じている感情だと監督が話してくれました。沖縄の人ではない人が演じることについても、「当事者じゃないからこそ、自分の主観を横にして、ひとつひとつ細かなところまで誠実に向き合うことができるんじゃないか」と話していました。誠実に向き合うことに、当事者であるかないかや、いつから向き合うかは大きな問題ではないんですね。

舞台になったコザ、沖縄市にも行ってみたくなりました。ロケ地巡りの企画もあったそうです。今もやってるのかなぁ〜〜

知ることが次への一歩で、沖縄への愛を表現する方法なんだと、この映画は伝えてくれていると思いました。それも、与えられる情報を待つのではなく、自分から知ろうと動こうと思わせてくれました。

映画『宝島』 とってもよかったです。作ってくださった皆様、本当にありがとうございました。

映画『国宝』と比較されることが多かった印象があります。漢字二文字だから?「宝」が入ってるから?3時間映画だから?笑 『国宝』も素晴らしくて大好きな作品でしたけれど、全く違う映画でした。

『国宝』は一人の人間に焦点を当てた一代記。『宝島』はその時代を描いた群像劇。『国宝』は誰もが存在は知っている歌舞伎というメジャーを扱い、『宝島』は沖縄県のコザというローカルを描いたインディペンデント映画。

どちらも大切な2025年邦画だったのですね。

映画『宝島』 はミニシアター系ではこれから上映することもまだまだあるそうです。機会があればぜひ映画館で。スクリーンに飲み込まれるような、没入体験が素晴らしい。

これから小説も読みます♪楽しみ!

上杉惠理子