徒然日記 〜日々出会う本や映画〜

世界的な名著から受け取ったこと/『夜と霧』V・E・フランクル著

こんにちは。上杉惠理子です。

いつか読みたい、一度読んでみたい

そんな世界的なベストセラー本が私には何冊かあります。

この年始、その一冊を読むことができました。

『夜と霧 心理学者、強制収容所を体験する』
ヴィクトール・E・フランクル著
(池田香代子訳 みすず書房)

ナチスの強制収容所を生き抜いた精神科医 V.E.フランクルの体験記であり思想書。

生還後まもなく執筆を開始し1947年に発刊、今も世界中で読まれているベストセラーです。

原題は「強制収容所における一心理学者の体験」ですが、日本語版では「夜と霧」

「夜と霧」は、ナチスドイツに反抗したものを強制収容するヒトラーの命令のことだったそうです。

私、『夜と霧』のタイトルは知っていたのですが、ずっと手に取るタイミングがないままでした。

読むのが怖く、読み切れる自信もなかったなぁ

批評家の若松英輔先生が、2年ほど前に『夜と霧』の講座をされていて、その録音を再リリースしてくださったことをきっかけに読むことにしました。

自分で一通り読み、それから先生の講座をじっくり聴き、一旦読み切ったと感じているところ。

そんな読み切った今。

意外な読後感です。

極限状況を生き抜いた壮絶な記録もたくさん入っているのですが…

愛と希望の本でした。

『夜と霧』で一番有名でよく引用されるシーンがあります。

強制収容所に入れられたこの人生にどんな意味があるのか、生きていることに何も期待が持てない、と収容された人たちが思う。

そう思うのは当然だと私も思う。

そこにフランクルはこう伝えます。

私たちが人生に期待するのではなく、人生が自分に何を期待しているのかが問題なのだ

180度方向転換して、生きる意味を問いかけることが必要だと。

これが絶望から踏みとどまらせる、唯一の考えだったと書いています。

人間として生きるとはどういうことなのか

『夜と霧』は、これを問い続けたフランクルがたどり着いた「こたえ」

東日本大震災の後、『夜と霧』が再び日本で売れたそうで、それもわかる気がします。

私が今日、ここでもうひとつシェアしたいと思うところがあります。

収容所にあっても完全な内なる自由を表明し、苦悩があってこそ可能な価値の実現へと飛躍できたのは、ほんのわずかな人びとだったかもしれない。けれども、それがたったひとりだったとしても、人間の内面は外的な運命より強靭なのだということを証明してあまりある。

『夜と霧』p.114

凄まじい収容所生活の中で、心身を深く傷付けられながらも、それでも侵されない心身とは別の「精神」を人間は持っている。

それに気づけた人はわずか。

ですが、わずかだったとしても、ひとりだったとしても、人間が強靭な内面を持っている証明になる。

全員でなくていい。

誰もが、でなくていい。

ひとりだったとしても、十分に価値があり、それもまた真実。

フランクルのこの立場に、なんだかとっても勇気づけられました。

現代の私たちは、一般的であること、多くの人に共感され共有されることに重きをおく傾向があります。

ビジネスノウハウは、「広く多くの人が使えるか」汎用性が重視される。

多くの人が共感し買ってくれるから、売上が伸びる。

逆に、あの人は特別だから、とぶっとんだ人と距離を置いてしまうことがある。

だけど例え今、なかなか理解されず、共感されなかったとしても、自分が大切にする想いや生き方には価値がある。

一般的であるかと、大切なことであるかは全く関係がない。

そんなメッセージを受け取りました。

小さくても大切な想いを大切にする仕事をしていきたい、そんなことを思いました。

最初の日本版、霜山徳爾訳の『夜と霧』は解説も史料写真も多く、衝撃が強いので心の準備が必要とのこと。

今回私が読んだのは、2002年発刊の池田香代子による新訳。こちらで読めてよかったと思います。これから『夜と霧』を読む人にも池田香代子訳はおすすめです。

一旦読み切ったので文章にしてみましたが… 全然読めてない気がしています^^ 

一年に一回でも、定期的に読み続けていきたい一冊です。

そんな本に出会えて嬉しい。

それではまた!

和装イメージコンサルタント
想いから始めるマーケティング戦略コンサルタント
上杉惠理子


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